中耳炎について


耳は、外耳・中耳・内耳の3つの構造にわけられます。
外耳:耳介・外耳道から成り、耳介は音を集めて、外耳道は集めた音を鼓膜へ導く働きをしています。
中耳:鼓膜・耳小骨・中耳腔(鼓室)から成り、内耳へと音を伝える働きをしています。
内耳:内耳は伝わってきた音を電気信号に変えて、脳へと伝える聴覚を担当する蝸牛かぎゅうと平衡感覚をつかさどる前庭から成っています。


外耳炎

 外耳炎は、外耳の部分に炎症が起こっている状態です。症状としては痛みや痒みがあり、症状が悪化すると耳だれが出ます。引っぱったり、押したりすると痛みを生じるのが特徴です。原因としては、耳かきのしすぎで耳を傷つけてしまったり、細菌やウィルスの感染で起こります。治療としては、抗生剤の点耳薬や内服薬、軟膏薬などの薬物療法になりますが、外耳炎の治療として重要なのは耳をなるべく触らないことです。


急性中耳炎

 急性中耳炎は、中耳の部分に炎症が起こっている状態です。症状は耳痛・発熱、耳閉感(つまった感じ)が主であり、耳だれが出ることもあります。耳だれが出ている時は綿棒で耳の中を触らずに、濡れたタオルなどでやさしく拭き取って下さい。原因は、鼻や喉に炎症が起こり、その細菌が耳管(中耳と鼻の奥をつないでいる管)を通って中耳に入り込むことにより起こります。子どもの耳管は太く短いので、鼻や喉の病原菌が入りやすく、生後6ヶ月~2歳ぐらいまでの子どもは特に急性中耳炎にかかりやすいです。(生後6ヶ月までの乳児はお母さんからの免疫力でかかりにくい)小さいお子さんは言葉で訴えることができないので、発熱や耳を触るなどのしぐさに注意してあげて下さい。熱や耳痛がある時は、痛みが増しますので入浴は避けてください。また急性中耳炎にかかった場合は、1週間は水泳ができません。

 急性中耳炎の治療は、抗生剤や抗炎症剤の内服薬で様子を診ます。また痛みが激しい時や発熱が続く場合は、鼓膜に小さな穴をあけて中耳腔に溜まっている膿を出す鼓膜切開を行うことで症状が落ち着くことが多いです。鼓膜切開は麻酔に20分程要しますが外来で当日に出来ます。切開によって難聴になることはありませんし、鼓膜にあけた穴は一週間程で閉じます。費用は保険3割負担の方で片耳2000円強です。急性中耳炎はその後の経過が大切となりますので、耳痛や発熱がなくなっても完治するまでは受診してください。


滲出性中耳炎

 滲出性中耳炎は中耳に起こる病気ですが、急性中耳炎とは違い痛みや発熱の症状は起こりません。滲出性中耳炎は中耳腔に滲出液という液が溜まることによって、耳閉感・難聴・音が響くなどの症状が起こります。急性中耳炎と同様、小さいお子さんは言葉で訴えることができないですので、聞き返しが多くなる、返事が悪くなる、テレビの音を大きくするなどの変化に注意してあげて下さい。原因は、耳管の機能不全と急性中耳炎で、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、扁桃やアデノイドの肥大などがその要因となります。

 滲出性中耳炎の治療は、マクロライドという抗生剤の少量長期投与や抗アレルギー剤などの内服と、可能なら週に2回程外来での鼻の掃除やネブライザー治療などです。

 上記の治療でも3、4カ月以上改善が見られない場合や、難聴が高度な場合、鼓膜の状態が視診上悪い場合には、鼓膜切開を行います。鼓膜に小さな穴をあけて、中耳腔に溜まっている滲出液を直接吸い取ります。1回の鼓膜切開で滲出性中耳炎が完治することもよくありますが、あけた穴は一週間程で閉じるので、その後の鼻の状態や耳管の機能不全が続いていると、また滲出液が溜まることはあり得ます。鼓膜切開の効果を高めるために、1ヶ月以内をめどに短期型のチューブを挿入することもあります。

 鼓膜切開を片耳2,3回以上行う必要がある場合、あるいは通院が頻繁にできない場合には、鼓膜に長期型のチューブを留置し、あけた穴が塞がらないようにする方法があります。常に鼓膜に穴があいた状態が続きますので、施行後は耳に水が入らないように気を付ける必要があります。また、水泳に関してしっかりした耳栓を付けることや飛び込み、潜水ができないなどの制限が生じますが、鼻の状態がよければ月に1回程度の通院で済むようになります。チューブの留置はお子さんの場合、外来で出来るかどうかはお子さん自身の協力によるところが大きいです。チューブは自然に脱落することもありますが、約2年後に抜去します。鼓膜切開や短期型のチューブに比べ鼓膜に穴があいている期間が長いので、20人に一人の割合であけた穴が塞がらなくなる事があります。



 

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